権利事件

【梅光学院大学 未払い賃金請求訴訟】

 梅光学院理事会(本間政雄理事長)は、2016年度、教職員組合との団交に不誠実な対応を繰り返したあげく、本俸切下げを伴う制度改定や諸手当削減、退職金支給率の大幅引き下げなどを強行しました。
 理事会は、2年前に職員を対象とした制度改悪を強行し、2015年に教員への適用を明示しました。これを契機に、学院民主化を求める教職員が組合を結成し、賃金切下げ・制度改定の拙速導入に反対し、制度改定に向けた労使協議を要求しました。しかし、理事会は、まともな対応をすることなく、上記の通り、賃下げを強行したのです。
 2016年10月、10名の原告団が、山口地裁下関支部に、同年4月以降の給与について、制度改定前後の差額を未払い賃金として請求する訴訟を提起しました。2021年2月2日(火)、判決が言い渡されました。内容は、学院による一方的な給与規程改訂の合理性等を認めず、請求金額のほぼ全額の支払を学院に命じる勝利判決でした。2月5日(金)、九州私大教連、梅光学院大学教職組は、声明を発出しました(参照;声明等)。その後、理事会は控訴しなかったため、判決は確定しました。教職員組合は、判決確定を踏まえた団交は、10月5日に第4回を行いました。就労環境の改善関連で前向きな回答が出ました。未払い賃金については、裁判原告に限った支払の方向になっています。なお、現在も団交は継続中です。第2次訴訟(原告2名)は、10月26日(火)に勝利判決を獲得し、確定しています。さらに、第3次(原告1名)訴訟も勝利判決が確定しました(判決は10月10日)。

 

【梅光学院大学 損害賠償請求訴訟(研究室訴訟)】

 8月30日、現職・元職教員9名の原告団は、梅光学院を相手に、個人研究室廃止により、研究活動等に損害を被ったとして始まった同裁判は、地裁、高裁と不当な判決が続いたことから、上告をしていました。最高裁への要請行動を目前にした10月23日、最高裁は、上告棄却(民事訴訟法312条1項、2項に該当しない)、上告受理申立不受理(民事訴訟法318条1項にあたらない)の決定を下しました。大変残念ですが、この裁判闘争は区切りがついたことになります。この間、物心両面からのご支援をいただきましたこと、心から感謝申し上げます。

 地裁からの一連の判決は、大学における教育・研究活動に対する理解が極めて浅いものです。従前以上に教育・研究の活性化や高度から求められている大学において、大学教員が落ち着いて教育・研究活動に専念できる環境が必要なことは自明の理です。判決は、大学が果たし、求められている働きへの理解が欠けた不当な内容と言わざるを得ません。

 一方、判決は、大学教員と学校法人間の雇用契約に関して、教育・研究が主たる業務内容となっている雇用契約であるときは、大学教員に研究室を利用させることが、学校法人の付随義務となっているとしました。最高裁決定は、判決内容について言及していませんので、この考え方は大変重要なものといえます。

 大学教員が、教育・研究活動に専念できる環境は、大学の活性化につながり、大学の維持・発展や地域貢献につながるとの考えから、原告団は、今後も研究室の確保を求める取り組みを継続します。