声明等

梅光学院大 未払い賃金請求訴訟判決の声明

                      声 明

 2月2日、山口地裁下関支部は、梅光学院理事会(理事長 本間政雄)が2016年(平成28年)4月から一方的に給与規程を改訂し、教員の賃金、および、退職金を大幅に削減したことについて、改訂前の金額との差額を支払うことを命じる判決を下しました。この判決は、事実認定の一部にいささか難点があるものの、請求額をほぼ全額認めたことから、原告団の全面的な勝利判決といえます。

 梅光学院理事会は、2015年(平成27年)、前年職員に一方的に導入した評価に準ずる給与制度を教員に導入することを明らかにしました。それは、本俸表改訂と諸手当の減額や廃止、退職金算定基礎を縮減するものであり、原告団内では最大月15万円も削減される程重大な改訂でした。教職員有志は、この件が明らかにされると、教職員組合を結成し、この改訂の根拠・合理性の説明を求め、団体交渉を要求しました。しかし、理事会は、改訂内容に固執し、回数だけこなす不誠実団交を繰り返し、2016年(平成28年)4月から一方的に改訂を実施しました。この間に理事会が明らかにした賃金削減の理由は、2015年(平成27年)まで10年間、単年度ごとの学院財政が赤字であり(帰属収支差額における支出超過)、この収支状況が継続すると10年で資金ショートするので、それを回避するためというものでした。
 しかし、判決は、理事会が収支構造の改善を検討することの合理性は認めつつ、原告団が提出した鑑定意見書に基づき、①資金余剰額は改善していたこと、②短期的支払能力に問題はなかったこと、③資金繰りに問題が生じる危機的な状況ではなかったことを明示して、この賃金削減に高度の必要性はなかったと結論づけました。
 また、理事会の代償措置をとったから賃金削減は容認されるとの主張については、不利益の大きさとの比較から、容認されないとしました。

 ただし、判決には、理事会の不誠実団交や過半数代表者選出における非民主的手続きに関する事実認定について、実態を見ることなく、理事会の対応を安直に容認するなど、批判されるべき箇所があります。しかし、判決が、理事会が主張する財政難を斥け、代償措置をとってもなお、今回の賃金削減には相当性がないことを認めたことは事実です。

私たちは、梅光学院理事会は、本判決を真摯に受け止め、直ちに給与規程を2015年(平成27年)の状態に戻し、すべての教職員に対し、賃金の差額を支給すること、専断的・独善的な学園運営を改めること、こうした事態を招いた経営責任を明確に示すことを強く求めます。


                                         以上

第34回定期大会報告

 第34回定期大会の開催について

 去る11月26日(土)、オンライン・対面併用で第34回定期大会を開催しました。代議員総数24名中、オンライン・対面・委任状あわせて18名の出席をえ、大会は成立し、審議・採択を行うことが出来ました。議案は、第33期活動総括案・同決算案、第34期活動方針案・同予算案が賛成多数で採択されました。また、書記局事務所移転に伴う連合規約改正が採択されました。これらの議案採択後、第34期役員選挙が行われ、郵便投票による直接無記名投票で、候補者全員が信任されました。代議員の皆様、ご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。

声明

     菅義偉首相による日本学術会議会員推薦者の任命拒否に関する声明


                       2020年10月8日
                       九州地区私立大学教職員組合連合執行委員会


 10月1日、日本学術会議が推薦する新会員6名の推薦について、菅首相が任命拒否したことが明らかになりました。菅首相によるこの行為は、日本学術会議の独立性と、憲法第23条の学問の自由を侵害するものです。さらに、任命拒否した理由を説明せず、また、「人事を通じて一定の監督権を行使することは法律上可能」(加藤官房長官)という、不誠実な態度と学問や科学を政府の従属下におくかのような認識も示されました。私たちは、菅首相による任命拒否をはじめとする、政府の一連の言動に対して強い憤りと抗議の意思を表明します。
 日本学術会議は、日本学術会議法(以下、「同法」)の前文において、「科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命」とすることを宣言しています。
 さらに、同法では、「科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること」「科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること」等の職務を、「独立して」(同法3条)行うことを保障しています。そして、同法7条等では、同会議の「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」ことになっています。この推薦・任命制度は、国家公務員法との関係で形式的な任命であることが政府の公式な見解であり、過去、日本学術会議の推薦者の任命を拒否したことはありません。このことは、学術会議の独立性の担保、すなわち、国家権力による学問や科学への介入を排除するための制度です。今回の菅首相による任命拒否は、こうした崇高な日本学術会議設立の理念とは真っ向対立し、制度の趣旨を転換させる暴挙といえます。
 日本学術会議の新会員推薦は、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考・推薦することとなっています(同法17条)。研究や業績という客観的な評価に基づく被推薦の任命を拒否する以上、菅首相は、その理由等を説明する責任があります。しかし、前政権時同様、現政権も説明責任を果たしていません。また、法律に規定されていない日本学術会議に対する監督権という言葉を持ち出すにいたっては、政府には、科学や学問が、権力から独立し、自由が守られるべき存在であることへの理解が全くないことの表明であり、非民主的な体質をあらわにしたといえます。
 私たちは、菅首相に対し、日本学術会議が推薦した新会員6名を直ちに任命することを要求します。
 日本学術会議には、諦めることなく、政権による学問・科学への介入を拒否し、学問・科学の独立と自由を守るべく取り組み抜くことを求めます。